事業再構築補助金10次公募のポイントについて

事業再構築補助金10次公募のポイントについて

本日は、先日公開されました事業再構築補助金第10回公募のポイントについて記載させていただきます。


サプライチェーン強靭化枠、卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠については対象となる事業者様が限られるため割愛します。

また、賃上げで補助金が上乗せになる制度もありますが、個人的にリスクが高いと思っていますので、事業者様の希望がない限りはこの上乗せ制度はオススメしていません。

それでは、個別の枠について内容確認していきます。

まずは、「売上減少要件なし」の枠についてです。

■成長枠
補助上限 2000万円~7000万円
補助率 中小企業1/2、中堅企業1/3

この枠で申請できる事業者は指定された業種のみという限定がされています。
もし指定業種ではない場合は、「この分野が成長する」と内容証明ができる資料等が必要なので、少し様子を見る必要がありそうです。個人的に初回にここに乗り出すのはリスキーな気がしています。

では、指定業種とはどのような業種なのか?
公開されている資料を元にまとめてみました。

【指定業種まとめ】
・製造業
・卸売業
・ソフトウェア業
・情報処理・提供サービス業
・インターネット付随サービス業
・自動車卸・賃貸業
・スポーツ・娯楽用品賃貸業
・職業紹介・労働者派遣業

実際にはもっと詳細に分類されていますが、主要な部分をまとめるとこのようになります。
製造業、卸売業は該当する事業者様が多い印象でした。
一方で、飲食、サービス業はこの枠に該当するのは難しいと感じました。

補助率に関しては、1/2というのが少し残念です。

(大規模な賃上げを行う場合は2/3ですが、こちらは慎重に検討する必要があります。)

■グリーン成長枠
グリーン成長戦略実行計画14分野の課題解決に資する取り組みを行う事業者に対する支援です。
補助上限 
エントリー→中小4000万円~8000万円、中堅1億円
スタンダード→中小1億円、中堅1.5億円
補助率 中小企業1/2、中堅企業1/3
※最賃引き上げで補助率を中小2/3、中堅1/2に引き上げ

この枠については、以前に出ていた情報からあまり変わっていません。

下記の内容がポイントです。
・14分野の課題解決に限定し、その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員 の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
・研究開発・技術開発計画書又は人材育成計画書の提出が必要
・過去に採択されている事業者も採択された事業と別事業で行う場合は申請可能(グリーン枠で採択された事業者は除く)

■産業構造転換枠
市場規模が縮小する業種・業態から転換する事業者の支援です。
補助上限 2000万円~7000万円
※廃業費がある場合、上限を2000万円上乗せ
補助率 中小企業2/3、中堅企業1/2

こちらについては「業界団体等が要件を満たすことについて示した業種・業態」または「要件を満たすことについて示した地域」であることが必要となっていました。
要件を満たすことを示した業種として下記の業種が指定されています。

・出版業
・粘土かわら製造業

この2業種のみで、かなり狭き門となっています。
なお、「コロナ後~今後の10年間で市場規模が10%以上縮小することについて、応募時に客観的な統計等で示していただき、事務局の審査で認められた場合 にも対象となります」と記載ありましたので、今後は指定業種が増えていと予想できます。

また、要件を満たすことについて示した地域として、下記の地域が指定されています。

・呉市
・有田市
・名寄市

こちらも3地域とかなり狭き門です。

ちなみに、この指定地域は「地域における基幹大企業が撤退することにより影響を受ける地域」のことです。
ですので、こちらは先程の「業界団体等が要件を満たすことについて示した業種・業態」と比べて、今後あまり増えていくことはあまりない雰囲気があります。

非常に活用しづらい枠ですが、該当する事業者様はチャレンジを検討されても良いかもしれません。

次の二つは、売上減少要件はあるけど、事業者様が活用しやすいであろう枠です。

■最低賃金枠
最賃引き上げの影響を受ける事業者に対する支援です。
補助上限 500万円~1500万円
補助率 中小企業3/4、中堅企業2/3

こちらは売上減少要件の他、以下の要件を満たす場合に申請することができます。
①付加価値額を年率平均3.0%以上増加させること
② 2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員 の10%以上いること

賃金引上げはハードル高いですが、こちらの枠は補助率が高いので、これから従業員に還元したりして成長していこうと計画されている事業者様にはベストですね。
指定業種とかもないので売上減少要件が該当していれば基本的にどの事業者さんでも申請自体は可能です。

■物価高騰対策・回復再生応援枠
原油価格・物価高騰の影響を受ける事業者に対する支援です。
補助上限 1000万円~3000万円
補助率 中小企業2/3(一部3/4)、中堅企業1/2(一部2/3)

個人的にはこの枠が一番使いやすいとお客様にもお伝えしています。
要件下記の通りです。


①付加価値額を年率平均3.0%以上増加させること
②売上減少要件合致or中小企業活性化協議会から支援を受け再生計画等を策定していること
こちらも売上減少要件の該当と付加価値額の増加があれば業種の指定はなしです(再生計画策定してたら減少要件もなし)。
実質、前回までの通常枠がこちらに踏襲された印象です。
従業員6人~で上限1500万下りるので、投資金額としてもまずまずかなと感じました。

本日は以上です。

従来と比べて、活用しずらい部分も増えましたが、活用を検討されている事業者様の参考になれば幸いです。

岸本圭祐

㈱ケーズパートナーズ 代表取締役 中小企業の➀資金調達、➁経営計画作成・実行、➂スモールM&Aを支援している。

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