「正しいことを言うこと」と「相手を動かすこと」は別物

「正しいことを言うこと」と「相手を動かすこと」は別物

執筆者:岸本圭祐

本日は、「言いたいことを言わない方が人は動く」というテーマについてご紹介します。

私の職業であるコンサルタントや研修講師という仕事は、アドバイスをすることも仕事です。

だからこそ、「正しいことを伝える」ことに意識が向きやすい。

私自身も、昔はそうでした。

開業してもうすぐ丸10年。

日々、色々な企業でコンサルティングや研修をさせていただく中で、少しずつ考え方が変わってきました。

それは、『「正しいことを言うこと」と「相手を動かすこと」は、別物』ということです。

例えば、営業研修をしていて、

「もっとお客様に質問した方がいいですよ」

「その提案では、お客様目線になっていません」

と伝えたとします。

こちらとしては、正しいことを言っているつもりです。

でも、研修が終わったあと、「勉強になりました!」と言ってもらえたとしても、翌日から何も変わらなかったら、研修としては十分ではありません。

大切なのは、「分かった」ではなく「やってみよう」になること。

さらに言えば、「やってみよう」が「実際に行動が変わった」になること。

ここまで持っていって、初めて人を動かしたと言えるのだと思います。

コンサルティングでも同じです。

経営者の方から相談を受けると、

「こうした方がいいですよ」

「このやり方がおすすめです」

と、答えを伝えることはできます。

でも、あえて答えをすぐに言わないことがあります。

「社長は、どうしたいですか?」

「もし今のやり方を変えるとしたら、どこから変えますか?」

「それをやったら、何が変わりそうですか?」

そんな質問をする。

すると、経営者ご自身から答えが出てくることがあります。

そして、「それ、やってみます」となる。

この瞬間は、こちらが10分かけて説明するよりも、はるかに強い。

なぜなら、「言われたからやる」のではなく、「自分で決めたからやる」になっているからです。

もちろん、コンサルタントとして、言うべきことは言います。

専門家として、「それは違います」と伝えなければならない場面もあります。

特に、補助金や資金調達、営業戦略など、間違えると会社に大きな影響が出ることについては、曖昧に伝えることはできません。

ただ、何でも正論をぶつければいいわけではない。

ここは、コンサルタントとして仕事をする中で、私自身がかなり意識するようになったところです。

研修でも、「これを覚えてください」「こうしてください」と一方的に伝えるだけなら、講師側は楽です。

でも、それでは人はなかなか変わりません。

だから私は、問いかける。考えてもらう。事例を出す。自分の会社に置き換えてもらう。

そして、「じゃあ、明日から何を変えますか?」と聞く。

ここまでやって、ようやく研修が「知識を得る場」から「行動を変える場」になるのだと思っています。

そして、これはコンサルタントや研修講師だけの話ではありません。

経営者と社員。上司と部下。先輩と後輩。親と子。

色々な場面で同じことが言えると思います。

人は、「正しいことを言われたから動く」のではなく、「自分で納得したから動く」。

だからこそ、「何を言うか」だけではなく、「あえて何を言わないか」も大切なのだと思います。

最近、私は誰かに何かを伝えるとき、「これを言ったら、相手はどうなるだろう?」

と考えるようにしています。「自分の言いたいことを伝えられた」で終わるのか。

それとも、「相手の行動が変わる」ところまで持っていけるのか。

ここは大きな違いです。

言いたいことを全部言う。

正論を全部伝える。

それだけでは、人は動かない。

時には、一歩引く。質問する。あえて答えを言わない。相手が自分で答えを見つけるのを待つ。

その方が、結果的に大きな行動変容につながることがあります。

コンサルタントや研修講師は、「答えを教える仕事」だと思われがちです。

もちろん、それも仕事の一つです。

でも私は、「相手が自分で動き出すきっかけをつくる仕事」でもあると思っています。

だからこそ、言いたいことを言わない。

これは、決して「何もしない」ということではありません。

むしろ、相手を動かすために、あえて言葉を選ぶ。

そんなコミュニケーションも、コンサルタント・研修講師にとって大切な技術なのだと思います。

私自身も、まだまだ修行中です。

「これ、言った方がいいよな」と思ったときほど、一呼吸。

そして、「これを言うことで、相手は本当に動くのか?」と考える。

つまり、目的が、「言いたいことを言うこと」なのか、「相手にこれから動いてもらうこと」なのか?

この二つは、まったく違います。

必要だと思えば、言う。

必要なければ、あえて言わない。

そんなことを意識しながら、これからもコンサルティングや研修の現場に立っていきたいと思います。

『「正しいことを言うこと」と「相手を動かすこと」は、別物』

これも、コンサルタント・研修講師として大切にしたいことの一つです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

*画像は本文と関係ありません(シルバーウィークに後厄払いした時の写真)。

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岸本圭祐

㈱ケーズパートナーズ 代表取締役 中小企業の➀資金調達、➁経営計画作成・実行、➂スモールM&Aを支援している。

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