8月28日、中小企業基盤整備機構より「中小企業省力化投資補助事業(一般型)第6回公募」の採択結果が公表されました。
申請数1,841件、採択数1,176件、採択率63.9%、第1回公募から全て60%越の高採択率という結果です。
当社の支援先様も全件採択され、安心しています。
採択結果の統計データや実際の採択事例を分析すると、単に「人手不足だから設備を導入する」というだけではなく、採択されている事業にはいくつかの明確な共通点が見えてきます。
今回は、第6回の採択結果をもとに、
- どのような業種が採択されているのか
- どの程度の規模の企業が活用しているのか
- どのような設備投資が評価されているのか
- 今後申請を検討する企業は何を意識すべきか
について、分かりやすく解説します。
⸻
1.最も採択されているのは「製造業」
まず業種別の採択割合を見ると、最も多かったのは製造業です。
これは断トツですね。
やはり製造業は強い。
主な業種別採択割合
- 製造業:51.4%
- 建設業:14.6%
- 学術研究・専門・技術サービス業:4.2%
- 小売業:4.0%
- 卸売業:3.9%
- その他サービス業:3.7%
- 医療・福祉:3.6%
製造業だけで、採択案件全体の半数以上を占めています。
これは断トツですね。
やはり製造業は強い。
また、建設業も14.6%となっており、製造業・建設業を中心とした「現場作業」「加工工程」「生産工程」の省力化投資が多く採択されていることが分かります。
これは、省力化補助金(一般型)が、
「これまで人が行っていた作業を、設備やシステムによって効率化・自動化する」
という事業との相性が非常に良いためと考えられます。
例えば、
- 熟練社員に依存している作業
- 人手による搬送や加工
- 手作業による検査
- 複数人で対応している工程
- 夜間や休日の人員確保が難しい業務
などは、省力化投資の対象として非常に検討しやすい分野です。
⸻
2.大阪府が全国トップの採択件数
都道府県別に見ると、採択件数が最も多かったのは大阪府でした。
採択件数上位
1位:大阪府 131件
2位:東京都 120件
3位:愛知県 102件
4位:静岡県 56件
5位:兵庫県 55件
6位:神奈川県 51件
大阪府だけで全体の11.1%を占めています。
また、兵庫県も55件、全体の4.7%となっています。
関西圏は製造業や建設業、卸売業、サービス業など多様な中小企業が集積している地域でもあり、今後も省力化・自動化への設備投資ニーズは高いと考えられます。
特に最近では、
- 採用しても人が集まらない
- ベテラン社員が高齢化している
- 最低賃金が上昇している
- 受注はあるのに人手が足りない
- 売上が増えても利益が残らない
といった経営課題を抱える企業が増えています。
その意味でも、今後は「人を増やす」だけではなく、
少ない人数でも売上を維持・拡大できる仕組みをつくる
という視点が、ますます重要になってくるでしょう。
⸻
3.採択企業は「中堅企業」だけではない
従業員数別では、最も多かったのが、
6人~10人:17.7%
でした。
次いで、
- 21人~30人:13.9%
- 5人以下:12.8%
- 11人~15人:10.2%
となっています。
この結果から分かることは、
省力化補助金は、従業員100人以上の企業だけが活用する制度ではない
ということです。
むしろ、
従業員数5人~30人程度の中小企業でも積極的に採択されている
ことが分かります。
「うちは小規模だから、大きな設備投資は関係ない」
と考えている経営者の方も多いですが、小規模企業ほど、
- 社長やベテラン社員に業務が集中している
- 特定社員しかできない仕事がある
- 1人退職すると業務が回らなくなる
- 採用が難しい
といった課題を抱えているケースが少なくありません。
だからこそ、省力化投資によって業務を標準化・自動化する意義は非常に大きいといえます。
⸻
4.採択されている投資額は「1,500万円~1,750万円未満」が最多
採択案件の補助金申請額を見ると、
1,500万円以上~1,750万円未満
が最も多い結果となっています。
つまり、一般型では比較的大規模な設備投資も多く行われています。
もちろん、小規模な投資案件が対象外ということではありません。
しかし今回の採択結果を見る限り、
「ちょっと便利になる設備」
よりも、
「会社の生産性や事業構造を大きく変える設備投資」
の方が多く採択されている印象を受けます。
例えば、
- 夜間無人運転を可能にする設備
- 5人必要だった作業を2人で対応できる仕組み
- 1日10時間かかっていた作業を2時間半に短縮
- 生産能力を3倍に向上
- 工程全体を自動化
といった、経営インパクトの大きな投資が目立ちます。
⸻
5.採択事例から見える「本当に評価されているポイント」
今回公表された採択事例を分析すると、非常に重要な共通点があります。
それは、
単なる人件費削減では終わっていない
という点です。
採択企業は、省力化によって生まれた「時間」と「人材」を次の成長に活用しています。
⸻
① 製造業:夜間無人運転による生産能力拡大
ある製造業では、パレットチェンジャー付きマシニングセンタを導入。
これにより、
- 機械の連続稼働
- 夜間無人運転
- 熟練社員の負担軽減
- 加工品質の安定化
- 不良品削減
を実現し、
人員を増やすことなく増産要請に対応できる体制
を構築しています。
ここで重要なのは、
「人を減らす」
ことが目的ではなく、
人を増やさずに売上拡大できる体制をつくる
ことが目的になっている点です。
⸻
② 建設業:年間1,585時間を省力化
建設業の採択事例では、
AIネスティングソフトとレーザー切断機を導入。
その結果、
- 年間約1,585時間の省力化
- 鋼材利用率を約10%改善
- 後処理作業を大幅削減
という効果が見込まれています。
そして、削減された時間を、
- 品質管理
- 後進育成
- 工程管理
- 原価計算
- 価格交渉
などに活用しています。
これは非常に重要なポイントです。
省力化によって生まれた時間を、
「次の仕事をするための時間」
に変えているのです。
つまり、
省力化 → 人員削減
ではなく、
省力化 → 高付加価値業務へのシフト
という考え方です。
⸻
③ 卸売業:5人の作業を2人へ
卸売業の事例では、デバンニングロボットを導入。
コンテナから荷物を下ろす作業について、
5人 → 2人
まで必要人員を削減しています。
そして、余剰となった人員を新しい物流基地事業へ再配置。
つまり、
省力化によって余った人を解雇するのではなく、新規事業へ投入する
という戦略です。
この考え方は、今後の中小企業経営において非常に重要だと感じます。
⸻
④ 飲食業:生産能力を3倍へ
飲食サービス業では、製麺工程を自動化。
その結果、
- 生産能力:週2,000玉 → 6,000玉
- 作業時間:1日600分 → 150分
- 人員体制:3人 → 1人
という大幅な改善を見込んでいます。
そして、省力化によって生まれた人員を、
- 営業
- 新店舗支援
- 新商品開発
へ再配置しています。
ここでも同じです。
単なる「コスト削減」ではなく、
省力化を活用して会社の成長スピードを上げる
ことが目的になっています。
⸻
6.採択案件には3つの共通点がある
今回の第6回採択事例を分析すると、採択されている案件には大きく3つの共通点があります。
⸻
共通点①「明確な経営課題」がある
採択案件には、必ず導入前の具体的な課題があります。
例えば、
- 人手不足
- 採用難
- 熟練社員への依存
- 長時間労働
- 生産能力不足
- 品質のばらつき
- 材料ロス
- 人件費上昇
などです。
重要なのは、
「設備を買いたい」
からスタートしていないことです。
まず、
経営課題がある。
そして、
その課題を解決するために設備投資が必要。
という流れになっています。
⸻
共通点②「どれくらい改善するか」が具体的
採択事例では、
- 5人 → 2人
- 3人 → 1人
- 600分 → 150分
- 年間1,585時間削減
- 生産能力3倍
など、非常に具体的な数字が示されています。
補助金申請においても、
「業務が楽になります」
「効率化できます」
という説明だけでは弱いでしょう。
例えば、
導入前
1日3名×8時間=24時間
導入後
1名×4時間=4時間
削減時間
1日20時間
というように、
導入効果を定量化することが重要
だと考えられます。
⸻
共通点③「省力化の先に成長戦略がある」
これが最も重要なポイントです。
採択案件では、省力化した後に、
- 新規事業へ人員を再配置
- 営業活動を強化
- 新商品開発
- 生産能力を拡大
- 大型案件を獲得
- 品質向上
- 価格戦略を高度化
といった、
次の成長戦略
につなげています。
つまり、
「省力化そのもの」が目的ではない。
ということです。
本当の目的は、
省力化によって経営資源を生み出し、その経営資源を成長分野へ再投資すること
なのです。
⸻
7.これから申請を検討する企業へのポイント
今回の採択結果から考えると、今後申請を検討する企業は、次の順番で考えることをおすすめします。
STEP1
現在の業務を洗い出す
↓
STEP2
どこに人手・時間がかかっているかを把握する
↓
STEP3
属人化している業務を特定する
↓
STEP4
設備・システム導入による削減効果を数値化する
↓
STEP5
省力化によって生まれた時間・人材をどこへ投入するか考える
↓
STEP6
売上・利益・付加価値向上につながるストーリーをつくる
この流れが非常に重要です。
⸻
まとめ|「設備投資」ではなく「経営改革」として考える
今回の中小企業省力化投資補助金(一般型)第6回採択結果を見ると、採択されている企業の多くは、
単に設備を導入しているのではありません。
設備投資をきっかけに、
- 人手不足を解消する
- 属人化を解消する
- 生産能力を向上させる
- 品質を安定させる
- 新規案件を獲得する
- 人材を成長分野へ再配置する
といった、
会社の経営構造そのものを変える取り組み
を行っています。
これからの中小企業にとって、
「人を採用して事業を拡大する」
という従来型の成長モデルだけでは、限界があります。
だからこそ、
少ない人数でも成長できる会社へ変わる
ことが重要です。
中小企業省力化投資補助金は、単なる設備購入支援制度ではありません。
自社の業務を見直し、
「どの仕事を人がやるべきか」
「どの仕事を機械やシステムに任せるべきか」
を考える大きなきっかけになる制度だといえるでしょう。
今後申請を検討されている企業様は、
「何を導入したいか」から考えるのではなく、
「会社のどの経営課題を解決したいのか」から考えることをおすすめします。
その先に、
自社にとって本当に必要な省力化投資
が見えてくるのではないでしょうか。
「来年度以降も省力化補助金の公募はあるか?」
こんな質問を最近よくいただきます。
結論から言うと、私はかなり高い確率で来年以降も何らかの形で続くと思います。
ただし、「今と全く同じ制度がそのまま続く」とは限らないです。
私の見立て
継続可能性:かなり高い(体感80〜90%)
理由は明確です。
- 日本の中小企業の人手不足は構造的な問題
- 最低賃金上昇への対応が政策課題
- 政府が「生産性向上」「賃上げ」「DX・ロボット活用」を強く推進
- 省力化補助金は、単なる一時的な救済策ではなく、国の中小企業政策の方向性と非常に一致している
実際、現時点で一般型は第8回公募まで予定されており、2027年2月上旬に採択発表予定です。さらに公式サイトでは、公募回を年3〜4回程度予定していることも示されています。
むしろ注目すべきは「制度の進化」
私は今後、
❌ 補助金を出して設備を買ってもらう
から、
⭕ 省力化 → 生産性向上 → 賃上げ → 成長
という流れをより厳しく求める制度になっていく可能性が高いと思います。
実際、現在の制度目的も、省力化投資を通じて付加価値額・生産性を高め、賃上げにつなげることが明確にされています。
「自社の場合、どの業務を省力化すべきなのか?」
「導入したい設備が補助金の対象になるのか?」
「設備投資に必要な資金を、補助金や融資を活用してどのように調達すればよいのか?」
このようなお悩みをお持ちの経営者様も多いのではないでしょうか?
当社では、単なる補助金申請のサポートにとどまらず、まず企業様の経営課題や今後の事業展開を整理したうえで、最適な設備投資計画の立案、補助金活用、融資を含めた資金調達まで、一体的な支援を行っております。
また、行政書士 堀内庸行の参画により、補助金申請に関する行政手続についても、より専門性の高い体制で対応することが可能となりました。
中小企業診断士による経営・財務面からの支援と、行政書士による補助金申請手続の専門的なサポート。
両者が連携することで、
「経営課題の分析」→「設備投資計画の立案」→「資金調達」→「補助金申請」
まで、一貫したサポートをご提供いたします。
省力化投資は、単に補助金を活用して設備を導入することが目的ではありません。
省力化によって生まれた時間や人材を、どのように売上拡大や収益力向上につなげていくのか。
そこまで考えることが、これからの中小企業経営においてますます重要になります。
「自社でも活用できるのだろうか?」
「まずは何から検討すればよいのか分からない」
という段階でも問題ございません。
設備投資・補助金活用・資金調達をご検討の経営者様は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。
貴社の経営課題や今後の成長戦略を踏まえ、最適な方法を一緒に考えさせていただきます。
