本日は営業戦略の続きです。
顧客の育成プロセスとコンバージョン率 – 中小企業診断士 岸本圭祐のブログ (kspartners.co.jp)
前回は、顧客の育成とコンバージョン率について解説させていただきました。
商品の属性によって、例えば、高額商品、汎用品、BtoB商材、BtoB商材など営業の本質は変わりませんが、それぞれ販売スタイルが異なります。
今回は、BtoBの高額品かつ個別品(特注品、オーダーメイド)の販売を取り上げます。
単価が高めで1個あたりまたは1ロット(百個以上など発注最小単位)あたり10万円から百万円以上のケースを想定します。
例えば、建設関係や機械メーカー、設備メーカーを売っているような会社です。
研修会社や高額のコンサルティングサービスなどもこちらに分類できるかもしれません。
これらの商品は数十万円から数百万円規模となり、まとめて案件を受注すると、1,000万円規模になったりすることもあります。
ステップ0の潜在客は、おおむね業者相手なので、地域の絞り込みにより、十数社から百社以上など様々です。
そこで例えば、名刺交換やDM(ダイレクトメール)やホームページからの問い合わせなども含めて、電話番号やメールアドレスといった個人情報を知らせてくれたステップ1の見込客が100人いたと仮定し、そこからコンバージョンを考えると分かりやすいです。
100人からステップ2の新規客になるのは例えば、20%位いれば、ある程度の利益が見込めるのではないでしょうか。
ちなみに、潜在客と見込客の違いは、「個人情報が把握できているかどうか」です。
次にステップ3の既存客となるステップです。
新規客が既存客になるのは50%くらいと仮定します。
すると、見込客100人中10人位までが既存客になって、複数回買ってくれると想定してみます。
さらに踏み込んで、例えば1年以上継続して商品を買ってくれて、自社に対してとても高いロイヤリティーを感じて下さるお客様が一定数現れます。
もっとも有難いクライアントであり、これがステップ4の得意客です。
仮にこれを既存客の2割と考えておきましょう。
以上より、見込客100人に対して新規客が20人、既存客は10人、そして得意客まで育つのは2人と、ひとつの顧客育成プロセスをモデル化しておくことがマーケティング戦略を決める上で非常に効果的です。
弊社の例で申し上げると、以前にある特定業界向けのコンサルティングサービス販売のプロジェクトを行いました。
販売プロセスとして、セミナー開催→個別相談→コンサルティングサービス契約という流れを設計しました。この流れを営業の導線といったりします。導線設計は非常に重要です。
セミナー開催については、その業界に強いリストホルダーの方とジョイントベンチャー(提携)という形で開催しました。
結果は、セミナー参加26名→個別相談7名→コンサルティングサービス契約2名でした。
そして、このセミナーをきっかけに、今日現在も継続してご契約を続けて頂いているお客様が1名いらっしゃいます。
ですので、私の場合、見込客(セミナー参加者)26名に対して、新規客(個別相談)7名、既存客(コンサルティングサービスご契約者)2名、得意客(継続契約)1名という顧客育成プロセスモデルの仮定が成り立ちます。
つまり、コンバージョン率は、「見込客(26名)→新規客(7名)は約27%」、「新規客(7名)→既存客(2名)は約30%」、「既存客(2名)→得意客(1名)は50%」ということになります。
これが高いか低いか分かりません。商品・サービスによってはもう少しコンバージョン率が上がるかもしれません。
この数値を実際に取得する、体感することが本当に貴重かつ大切です。
あるかないかでは大違いです。仮説を持って具体的な営業戦略を打つと成果が出やすいです。
商品・サービスが変わる場合も実際に会社の過去のデータを検証して、モデルを修正すれば良いだけです。そのためにもデータの蓄積が大事です。
その後、各ステップのコンバージョン率を上げるのか、あるいは見込客(リード)を増やすのかを考えるだけです。非常にシンプルで分かり易くありませんか?
弊社の場合で考えると、新たなリストホルダーの方と提携しセミナーを沢山開催することで、見込客(リード)が獲得できるでしょう。
また、個別相談の品質、対応力を上げることで、新規客(個別相談)→既存客(コンサルティングサービス契約)のコンバージョン率を上げることができるでしょう。さらに、コンサルティングサービスのコンテンツをバージョンアップさせることで、既存客(コンサルティングサービス契約)→得意客(継続契約)のコンバージョン率を上げることができるでしょう。
こういう風に仮説を立てることができます。
営業戦略が上手く機能しないのは、過去のデータに基づく仮設検証のプロセスがないからです。
どちらかを高めるだけなのです。非常にシンプルなんです。実は。
見込客数(リード)を増やすのか、それぞれのコンバージョン率を上げるかだけなのです。
慣れてくると、ゲームをしているみたいで面白くなってきますよ。
これが自社を研究するということです。
他社のイメージを持つことも大事です。
ライバル企業に勤めている人の話を聞いてみるとか、自分がライバル企業に勤めていた経験があれば、それを元に考えてみることもできます。
岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ
コメントを残す