事業計画書の作成プロセスについて

事業計画書の作成プロセスについて

今回は事業計画書の策定プロセスについてご紹介させていただきます。

「事業計画書」とは、創業時や新規事業を始める際に「どのような事業をどのような計画でどれくらいの売上・利益を見込んで行うのか」を具体的に説明する資料のことを言います。金融機関へ融資の申し込みを行う際には、多くの場合この事業計画書の提出が必要となります。
また、創業時に限らず事業が軌道に乗って追加融資が必要となった場合、助成金を活用したい場合、さらには経営が苦しくリスケジュール(返済条件の変更)が必要になった場合でも事業計画書が必要です。さらに、対外的な資料としてではなく、自社の社員に対して進むべき方向性を提示し、予算や方針を全社で共有するために作成する「社内用」の事業計画書もあります。こちらは金融機関から要求されるものではなく、経営者自らが必要と考えて作成する計画書です。
 

まず、社内用の事業計画書を作成する際には、必ず幹部や現場のキーマンとなる方を交えたプロジェクトチームを編成します。経営者だけで作成した計画書は、社員の方々にとって「上から降ってきたもの」「指示・命令」に過ぎず、思うような成果は上がりません。
 まずは経営者から見て、「彼は幹部候補として成長させたい。」「彼女は社内で旗振り役として活躍してくれそうだ。」と思われる方を、部門を横断して数名選んでいただきます。


プロジェクトチームを編成したら、事業計画書の作成に至った背景や作成の目的、チームメンバーに求める役割などについてメンバー全員に伝えます。大切なのは、メンバーに「当事者意識」を持たせることです。大きな会議室でスクリーンを使い、キックオフを実施する場合もあります。
 例えば、「事業計画書作成プロジェクト」では味気がないということで、まず始めにプロジェクトの名称を考えたりすることも有効です。それぞれの頭文字を取ってみたり、英語を用いたり、当て字を使ったり・・・と、各メンバーの個性が出ていて非常に盛り上がることが期待できます。プロジェクトに自分達でつけた名前があることで愛着がわき、当事者意識が芽生えます。


計画を作成する上で最も重要なのが「現状を正しく把握する」ことです。これが間違っていては、いくら計画を作成したところで上手くいきません。現状分析に最も時間をかける必要があります。一口に現状分析といっても、売上や利益などの業績だけではなく、業界全体の動きや競合他社の動向はどうか、自社商品やサービスの課題は何か、社内の風土や部門間での関係はどうかなど、様々な角度からの分析が必要です。

次に、目標設定やスケジュール管理などでよく言われているのが「積み上げ思考」と「逆算思考」です。ご存じの方も多いかとは思いますが、「積み上げ思考」は、何かを行う時に目の前にあるモノから順にどんどん処理を行っていき、その積み重ねた結果がゴールとなります。一方「逆算思考」は、先にゴールを具体的に決めてからそこに達成するまでを遡って処理していきます。
「積み上げ思考」も「逆算思考」もそれぞれにメリット・デメリットがありますが、社内用の事業計画書においては、やはり「逆算思考」で計画を作成していくべきです。

さて、数値計画の立て方についてです。
これまで社内で数値計画を一度も立てたことがない企業様であれば、ある程度ざっくり立ててしまって構いません。一度組み立ててから細かな修正を加えていきます。例えば、現在の売上が5億円として、5年後に売上10億円とゴールを設定したのであれば、逆算して4年後に9億、3年後に8億、年後に…と設定してしまえばOKです。(途中で新規商材を投入して売上倍増…!など大きく変動するのであれば話は別ですが。)


いよいよ最後のフェーズです。「アクション」プランを立てます。
突然ですが、次の2つのうちアクションプランとして相応しくないものはどれでしょうか?
1.A商品の製品ロスをゼロにする
2.既存顧客へのフォローを徹底する
 一見すると、どちらも問題ないように思います。しかし、実はどちらもアクションプランとしては相応しくありません。まず1つ目についてですが、何か行動をした結果が「ゼロ」になることはあっても「ゼロにする」という行動はありません。この場合「A商品の製品ロスをゼロにするために〇〇を××する」とすれば正しいアクションプランとなります。同様に2つ目は「徹底する」という行動がNGです。アクションプランは具体的かつ数字で測れるものでなければいけません。「徹底する」とは具体的に何をどうすることなのか?また何をもって徹底するというのか?これではいつまでたってもアクションプランを達成できませんよね。アクションプランは当たり前ですが「アクション」のプランでなければいけません。しかし、実際に作成してみると、案外難しいものです。まずは基本の5W2H(Who,Where,When,What,Why,How,How much)で作成していきましょう。

岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ

岸本圭祐

㈱ケーズパートナーズ 代表取締役 中小企業の➀資金調達、➁経営計画作成・実行、➂スモールM&Aを支援している。

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