こんにちは、中小企業診断士の岸本圭祐です。
平成27年9月に金融庁から公表された「平成27事務年度 金融庁行政方針」の中で掲げられた「事業性評価に基づく融資」は、今日、中小企業融資の重要なキーワードとなっています。
しかし、「事業性評価」という言葉がやや一人歩きしている感もあり、人によっては少し言葉の捉え方が異なるのが現状です。 そこで、今回は公表元である金融庁のいう事業性評価について掲載させていただくとともに、事業性評価融資のモデル事例についても簡単に触れさせていただきます。
■金融庁のいう事業性評価とは
金融庁公表の「主要行等向けの総合的な監督指針」における監督上の評価項目では、金融仲介機能の発揮について、ライフステージごとのソリューションの提案について詳細に示しています。その中で金融機関は、借入先企業の経営課題を把握・分析し、事業の持続可能性を見極め、企業に最適なソリューションを提案し、必要に応じて税理士など外部機関等の第三者的な視点や専門的な知見・機能を積極的に活用するよう求められていることがはっきりと打ち出されています。このライフステージごとに提案するソリューションを支援することのできる金融機関の体制の構築と実践が、事業性評価の実行にほかなりません。
しかし、最適なソリューションの提供は企業のライフステージによって、また企業自体の個別的な事情によってさまざまです。金融機関内部でも金融機関担当者の目利き能力の養成に関する研修を取り入れているようですが、企業の実際の経営現場の経験がほとんどない金融機関の人間が事業性評価を習得し、融資実務に生かすのはかなり困難な状況にあると言っても過言ではないでしょう。
また、金融庁のいう事業性評価も制度開始から日が浅く実例が少ないのも事実です。
■事業性評価融資のモデル事例
金融庁で公表している事例の一つに、広島銀行の事業性評価のモデルがあります。この事例の肝は中期経営計画の策定支援にあります。担当者が取引先企業の詳細な外部環境・内部環境分析を行い、経営者等との議論を通じて経営課題を抽出し、計画の策定支援をしていくものです。これにより取引先企業とのリレーションを強化するだけではなく、取引先の強み・弱み・商売の流れなどの企業実態を把握していくことで最適なソリューションを提案していこうとする取組みとなっています。
中期経営計画策定を支援する中で、取引先の定量面・定性面の実態やその業界の将来性などを詳細に分析・検討していく作業は、事業性評価の取組みに直結するものとして位置づけられています。
今回は以上です。この内容が皆さまのお役に立てれば幸いです。
岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ
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