「法人税の10%控除または特別償却」の税制措置や小規模事業者持続化補助金など「補助金の加点対象」、「信用保証協会による信用保証の枠の拡大」の金融支援などのメリットがある経営力向上計画。
今回は、経営力向上計画申請のポイントを実務の現場からお伝えします。
まずは、別紙(経営力向上計画)1ページ目です。
1 名称等
正確に記載してください。ただし、法人番号については、個人事業主や民法上の組合等、法人番号が指定されていない者は、記載不要です。
2 計画に係る事業の属する事業分野
「事業分野」の欄には、経営力向上計画に係る事業の属する事業分野について、日本標準産業分類の小分類を記載します。「事業分野別指針名」の欄は、経営力向上計画に係る事業の属する事業分野において、事業分野別指針が定められていない場合には、記載不要です。時々追加になるので、最新版の確認をお勧めします。
3 計画の実施時期
3年以上5年以内として定めます。オススメは、5年です。実施期間が過ぎると新規申請が必要なため、MAX5年で取っておくほうが手間が少ないためです。
4 現状認識
① 自社の事業概要
自社の事業の内容について、概要を記載してください。
② 自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向
自社の商品・サービスについて、顧客の数やリピート率、主力取引先企業の推移、市場の規模やシェア、競合他社との比較等について分析し、自社の強み及び弱みを記載することが必要です。全部書くと何ページにもなりますが、簡潔記入で問題ありません。ポイントを分かりやすく記載するのがコツです。
③ 自社の経営状況
自社の財務状況について、売上高増加率、営業利益率、労働生産性、EBITDA有利子負債倍率、営業運転資本回転期間、自己資本比率その他の財務情報の数値を参考に分析し、改善すべき項目等について記載します。書き方のサンプルでは、難しく書いてますが、売上高、営業利益、経常利益等の観点から、今後、どんな将来像が望ましいか記載できれば問題ありません。
5 経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標について
「指標の種類」の欄には、事業分野別指針で定められた指標がある場合は、当該指標を記載することとし、定められていない場合は、労働生産性と記載してください。
労働生産性は、営業利益、人件費及び減価償却費の合計を、労働投入量(労働者数又は労働者数×一人当たり年間就業時間)で除したものを用いてください。「事業分野別指針で定められた指標がある場合は、」の記述、定められているか要確認です。定められていなかったら「労働生産性」ですね。
次は、別紙(経営力向上計画)2ページ目です。
6 経営力向上の内容
(1)「実施事項」の欄は、「4 現状認識」等に記載した内容を踏まえて具体的に記載する必要があります。長く書く必要はありません。
(2)経営力向上計画に係る事業の属する事業分野において事業分野別指針が定められている場合には、各実施事項について、当該事業分野別指針の該当箇所を記載してください。勝手な新規事業を書くのではなく、国が定めた方針に従う内容とする必要があります。業種によって国が定めた方針は変わってきます。
(3)実施事項が新事業活動に該当する場合は、「新事業活動への該非」の欄に「○」を記載します。なお、新事業活動とは、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動をいいます。新規事業は必須ではないですが、1個ぐらいあった方がベターです。
最後に、別紙(経営力向上計画)3ページ目です。
7 経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
(1)経営力向上計画の実施に当たって必要な資金の額及びその使途・用途を記載します。必要な資金がなければ無理に記載しなてくも大丈夫です。
(2)「実施事項」の欄には、「6 経営力向上の内容」の実施事項ア、イ、ウ等との対応関係を記載します。
(3)同一の使途・用途であっても、複数の資金調達方法により資金を調達する場合には、資金調達方法ごとに項目を分けて記載します。
(4)「資金調達方法」の欄には、自己資金、融資、補助金その他の資金の調達方法を記載します。
(5)項目数が足りない場合は、列を追加してください。
8 経営力向上設備等の種類
(1)経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得する場合に記載してください。税制優遇措置(固定資産、特別償却、法人税の減免)を目指すなら、お忘れないように。
(2)「実施事項」の欄には、「6 経営力向上の内容」の実施事項ア、イ、ウ等との対応関係を記載してください。
(3)経営力向上設備等を取得する場合には、中小企業等経営強化法施行規則第八条各号に掲げる要件に該当することを証する書類を添付してください。
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