第8原則「別の視点で考えよ」

第8原則「別の視点で考えよ」

「別の視点で考える」、ということは、従来の固定観念や先入観、もっといえば過去の成功体験さえも場合によっては一旦捨てて、「全く違う方向から物事を考えてみよう」という思考態度となります。

事例として一つ、グラスハーフエンプティグラスハーフフルという言葉をご紹介いたします。

グラスに水が半分くらい入っている絵を想像してください。

まずグラスハーフエンプティ。エンプティというのは空っぽという意味です。

グラスハーフエンプティの発想は、もともとコップいっぱいあった水が「半分になってしまった」と考えます。

それに対して、グラスハーフフルというのは、「いやいや、まだ半残っているよ」と。「まだまだチャンスはある!」という発想です。

まだ半分残っているという風にプラスの面を見るのか、マイナスの減点した方をみるのか。どちらに焦点を合わせるかで、その後の展開が随分変わってきます。

もう一つの例として、私自身の経験、飛び込み営業の苦労で生まれた「逆転の発想法」についてご紹介いたします。

私は独立前の20代後半、税理士事務所勤務時代に顧問先新規開拓の仕事で飛び込み営業をしていたことがあります。

転職してすぐの頃は、訪問するあてもなく、片っ端から大阪府内の企業に飛び込み営業をしていました。

今、思うとなんて非効率なことをしていたんだと我ながら思います。

税理士の新規顧問先の開拓はこれがまた難しいんです。

基本的に既にお抱えの税理士さんがいる企業さんがほとんどです。

しかも私は税理士でもなんでもない。当時は税務の知識もありませんでした。簡単に契約ができない。

直観的に100人に会って、きっちりと応接間に入れてサービスの提案や契約の話ができるのは、1人位でしょうか。

つまり、100人にあって、1人と契約できる可能性しかないということは、逆に99人には断られる。これは精神的にとてもきついです。

それを100人中1人から3人の契約に効率を高めるとか、営業トークや営業スキルを改善して、なんとかして売ってやろうと考える人がほとんどだと思います。

私も最初はそれをやりましたが中々成果が出せずに、とても苦しんだ経験があります。

買う気がない人にその気になってもらうのですから。

しかし、途中から発想を180度変えました。

視点を変えて、 今まで飛び込み営業してきた企業がどんなことに困っているかをリサーチして、銀行からの融資を調達しづらく、資金繰りに苦労している中小企業の悩みに着目しました。

さらに、地域密着の信用金庫の担当者と沢山接点を持ち、顔見知りになり、資金繰りに苦戦している中小企業のことを相談してみました。

こうして事業計画書の作成や資料作成や金融機関とのマッチングなど融資のお手伝いをすることによって、「岸本さんのおかげで融資が上手くいったよ」ということで契約に至ったり、紹介をいただけたりするようになりました。同時に、銀行の営業マンにとってのノルマ達成のためのアシストにもなるので、「岸本さんに融資先の企業を紹介してもらったから」ということで、銀行からも中小企業を紹介してもらえるようになりました。

こうして紹介で顧問先を新規開拓できるようになり、契約が月に2~3件決まるよようになりました。私自身が税理士の資格を持っているわけではないにも関わらず、税務顧問の契約がスムーズに決まるようになりました。

これが「別の視点で考えよ」ということの一例です。

岸本圭祐

㈱ケーズパートナーズ 代表取締役 中小企業の➀資金調達、➁経営計画作成・実行、➂スモールM&Aを支援している。

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