これはコミュニケーションや人間関係に関係します。
「あなた達2人は、毎週十分に対話していますか?」ということをまずは上司に聞いてみます。
上司の立場と部下の立場、それぞれで同じ質問をしてみました。
実際、これを私はクライアントでやったことがありますが、本当に面白いです。これはコーチングの一つのやり方でもあります。360度フィードバックと言って、例えばある管理者の現状分析をする時に、本人の自己分析をしてもらうのはもちろんとして、その上司・部下・同僚など全方位の関係者にも同様のアンケート等をとるというやり方です。
その結果、上司の方はこう言いました。
「先週はトータルで例えば3時間話をしました。1日30分以上じっくり話ができました。部下の悩みを聞いて適切なアドバイスができたと思います。」
以上のように、もう自信満々で言っています。
一方、部下の方を読んで聞いてみたらどうだったか。
部下の方にマンツーマンで質問をしました。
「あなたは毎週、上司の方とコミュニケーションを十分に取っていますか?あるいは、先週、上司の方とどれくらいコミュニケーションを取りましたか?」
少なからず、次のように回答する部下が存在します。
「全然ですね。私の話を3分聞いたかと思うと、すぐに途中で遮って自分の話を始めます。俺の若い頃はとか、数少ない成功体験を自慢げに話しているのを見ると、イラッとして早く終われよと思ってしまいます。」
あるいは、もう二度と相談するかと思ったりするわけです。なので、部下に聞いてみると実は先週1週間で30分もちゃんとした会話をしていない、なんて言ったりします。でも、上司は3時間話をしたと。
つまり、5倍から6倍違うケースって結構あるのです。
控えめに見ても、上司と部下の認識の違いとして3倍以上開きがある、と思っていた方が安全です。
今回の例は上司と部下の立場でしたが、取引先と自分の立場などそれぞれの状況に応じて、相手の立場に立ってみると、全然違うことを考えていることに気づきます。
仕事に限らず身内との関係でもそうです。
人の立場で考えるというのは、「自分の頭の中で思っているとおりには相手は思ってくれていない、人は自分に少し都合の良いように考える生き物なので」と本心で理解し、相手の気持ちを真剣に思い描くことにつながります。
こういった人情の機微を知っておくと、チームで仕事をする時の協力関係の築き方やお客様との関係の構築の仕方もおのずと見えてくるでしょう。
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