こんにちは、中小企業診断士の岸本圭祐です。
前回のブログでは、事業計画書に盛り込むべき7つの事項について取りあげました。
今回は、経営戦略策定において欠かせない成長戦略と競争戦略について取り上げます。
■事業計画書に経営戦略の2つの視点はありますか?
経営戦略は、「成長戦略」と「競争戦略」の2つに分けられます。成長戦略は自社の強みを伸ばすことであり、弱みを克服して事業を成長させていく考え方です。競争戦略は競争相手に対して、価格や商品で差別化して競争に勝とうという考え方です。そして、経営戦略とはこれらの考え方に基づいて「変化する環境に事業をいかに合わせていくか」ということなのです。例えば、赤色が流行れば、赤色の服をたくさん仕入れるとか、塩麹がブームになれば、塩麹を使ったメニューを追加するなどです。単純なことですが、その単純なことに成長戦略と競争戦略が盛り込まれているのです。流行ではないけれど、求められる商品やサービスがゆっくりと変わっていくこともありますから注意が必要です。
■常に競合対策も意識する
経営戦略を策定するための視点としては、競合企業の存在もあります。ライバルのことです。例えば、自社が扱っている商品と同じ商品を、ライバル店が値下げをしてくることなどはよくあります。一般的な企業の場合だと、ライバル企業が新商品を出して品揃えを充実させたり、自社のヒット商品を模倣した商品の発売を始めたりすることなどがあります。こうした競合企業の新たな動きに何も対策をとらずに見ているだけでは、厳しい競争に勝つことはできません。相手の出方を見ながら競争に勝ち続けるための対策を講じていかないと、徐々に顧客を奪われてしまうのです。このように、顧客の求めるものの変化(ニーズの変化)や競合企業の存在に対して、こちらも常に変化し続けることが経営戦略なのです。アフリカ大陸に生息するハ虫類にカメレオンがいます。ご存じのとおり、カメレオンは自分の体の色を変えて周囲の色に同調させます。こうすることで、カメレオンは天敵から身を守るとともに、獲物から気づかれないように待ち伏せできるようになります。経営もカメレオンのように、周囲の状況に合わせて常に変化していく必要があるのです。経営戦略というと、奇をてらった秘策のことを思い浮かべがちで、専門家でないと考えられないことのように思ってしまうかもしれません。ところが、そうではないことがおわかりいただけたと思います。 事業を取り巻く環境の変化をしっかり確認した上で、今後の動きを考えることが経営戦略なのです。経営戦略の書かれていない事業計画書には意味がありません。 「事業の見通しと経営戦略はセットである」この認識が重要で、経営戦略には成長戦略と競争戦略が欠かせないのです。
今回は以上です。この内容が皆さまのお役に立てれば幸いです。
岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ
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