こんにちは、中小企業診断士の岸本圭祐です。
先日のブログでご紹介した実績検討会では、しばしば現場の生産性についても議論されます。
一般的に生産性とは、投入に対する産出の割合を指します。公式で表すと、生産性=産出(アウトプット)÷投入(インプット)となります。また、経営分析では加工高(売上高-(材料費+外注費))を社員数で割り算した労働生産性が使われます。製造現場では台数や個数及び時間で生産性を測定することが多いです。
生産性の管理は、販売や製造といった現場の力を継続的に向上させていくうえで重要です。ポイントは、現場の努力を正しく反映できる生産性指標の設定です。生産性が悪化したり改善したりする原因を客観的なデータとして明らかにすることが重要です。そこから浮かび上がる問題点を着実に解決していくことが、現場の質を高めます。
今回は、「現場の生産性管理をするメリット」、「実施のポイント」について掲載いたします。
■現場の生産性を管理するメリット
1.問題の所在が明らかになる
生産性管理によって、日々の活動が「可視化」されるため、会社の活動において、どの工程、どの作業に問題があるのかが一目で把握できるようになります。時間やモノの消費量を管理することで、例えば、製造現場では検査や運搬など、価値を生まない活動にかけていた多大な時間を削減していくことにつながります。
2.改善の度合いを現場と共有できる
現場で行われる日々の経営活動を可視化した情報が生産性指標です。月次決算を行う際、生産性指標を前年や前月と比較して分析することによって、現場でどの程度改善を行えば、月次決算にどの程度の影響が生ずるのかが明確になります。自分の活動がどのような成果に結び付いているか分かるようになり、成果が現場と共有され、現場メンバーが頑張るモチベーションとなっていきます。
3.現場の自主性を促す
現場の社員の活動の成果が生産性指標となって表れます。現場の日々の取り組みが生産性に直結することから、前向きな改善提案等が現場から上がりやすくなります。付加価値を生む活動が何か、効率的な活動とは何か、生産性を高めるためにはどうすればいいかという発想が生まれます。何にどれだけ取り組めばよいかがわかるようになるため、現場からの改善が動き出します。
■実施のポイント
1.日報を導入する
生産性の管理は、現場のデータを取得することからはじまります。データは、毎日取得することが理想的ですが、負担にもなります。日報を導入する意義を現場にしっかり理解してもらい、日報の様式も必要かつ十分な項目に絞り込むよう工夫することがポイントです。
2.投入量、出来高を集計する
日報で取得する情報は、投入量と産出量です。例えば、投入量である労働時間については、直接業務に要し た時間だけではなく、製造現場では手待時間、営業活動では移動時間などの間接時間も集計します。営業活動では営業マンの「行動内容」を投入量と考え、「受注件数」を出来高として集計しても良いでしょう。蓄積したデータは現状を詳しく分析できるように並べ替えたり、組み合わせたりして加工します。
3.目標の設定と日報による分析を行う
生産性改善においては、改善のPDCAを回し続けることが重要です。収集したデータに基づき目標値を設定して改善活動を行っていきますが、目標値は、実態を踏まえて、随時見直しを行います。朝礼やミーティングの場を活用しましょう。例えば訪問件数が多いのに受注が増えてないのであれば、訪問後に何か理由があるのでしょう。説明がダメなのか、クロージングがダメなのか、弱点となる原因を見つけ、どうすれば改善できるかを考えることを繰り返します。
今回は以上です。この内容が皆さまのお役に立てれば幸いです。
岸本が代表を務める→株式ケーズパートナーズ
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