育成就労制度とは?~企業評価書を求められたら~

育成就労制度とは?~企業評価書を求められたら~

深刻な人手不足に対応するため、外国人材の受け入れを積極的に行う企業が増加しています。

日本企業が開発途上国などの外国人を受け入れる際の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護」に関する取り決めとして『外国人技能実習生制度』が存在します。

この『外国人技能実習制度』が廃止される予定です。


2024年3月15日に、政府は外国人技能実習制度に代わる『育成就労制度』を創設するための出入国管理・難民認定法などの改正案を閣議決定しました。


新しい育成就労制度は、これまで外国人技能実習制度で指摘されていた長時間労働や賃金の未払、労働災害の頻発などの問題に対処し、適正な外国人労働者の受入れを目指すためのものです。


新制度になることで、外国人を受け入れる日本企業にはどのような影響があるのか、解説します。

1993年に創設された『外国人技能実習制度』は、日本の技術や知識を開発途上国に伝えて、その国や地域の経済的発展に寄与する制度でした。
国際貢献を目的としており、本制度を定めた『技能実習法』には、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段としては行われてはならない」旨が示されています。
一方で、日本企業にとっては労働力不足を補う側面があることも否めず、これまでさまざまな問題が頻出していました。
特に大きな問題となっていたのが労働基準関係法令違反です。

原則として、外国人技能実習生は実習実施機関と呼ばれる日本企業と雇用契約を結んで、働きながら技術や知識の習得を図ります。
雇用契約を締結しているため、当然ながら外国人技能実習生にも労働基準法を筆頭とした労働関係法が適用されます。

しかし、外国人技能実習生を労働力としか見ておらず、過去には当初の契約にはない作業をさせたり、長時間労働を課したりするケースが続出しました。
厚生労働省の発表によれば、2022年に労働基準関係法令違反が認められた実習実施機関は、労働基準監督署が監督指導を実施した9,829事業場のうち、73%以上に相当する7,247事業場でした。
主な違反事項については、使用する機械等の安全基準が23.7%と最も多く、割増賃金の支払が16.9%、健康診断結果についての医師等からの意見聴取が16.1%と続きました。

こうした安全基準の違反や賃金の未払は、最終的に外国人技能実習生の失踪を招きました。
外国人技能実習生は2022年時点で、34万人以上が在留していますが、年間1万人近くの実習生が、仕事場から失踪していることが法務省の調査でわかっています。

外国人技能実習生の失踪は、制度の仕組みも大きな要因でした。
違法な労働条件や長時間労働に耐えかねて別の企業での実習を希望しても、外国人技能実習制度では実習先を変更する、いわゆる『転籍』ができないため、逃げ出すしか、選択肢が残されていないからです。

さまざまな問題を抱える外国人技能実習制度は、長年そのあり方が議論されてきました。
今回、「人権侵害の温床」とも指摘されていた外国人技能実習制度が廃止されることになり、外国人材の処遇についても大きな変革のときを迎えようとしています。
では、出入国管理などの改正法の成立によって新たに創設される『育成就労制度』は、外国人技能実習制度とどういった部分が異なるのでしょうか。

大きな変更点は、制度の目的です。
外国人技能実習制度は建前として、あくまで国際貢献を目的としていたのに対し、育成就労制度は人材育成と人材確保を目的としています。
日本の産業における深刻な人材不足の解消に向け、新制度では『人材確保』を明文化したかたちとなりました。

育成就労制度では、この「人材育成と人材確保」を掲げ、外国人労働者の3年間の在留期間のなかで、将来的に「特定技能1号」のレベルまで育成することを目標としています。
特定技能1号とは、外国人技能実習制度における1年目に習得する技能と同等のレベルです。

また、外国人技能実習制度では認められていなかった外国人労働者の転籍も、「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化するとともに手続きが柔軟化され、条件を満たすことで可能になりました。
転籍は、労働条件の相違やハラスメントなどがある職場において、本人に一定の日本語能力かつ技能があり、就労した期間が1年を超えていれば認められます。

転籍が認められるようになることで、外国人労働者の働き方も柔軟になることが予想されます
受け入れる企業は、労働条件通知書の提示や本人説明の記録など、労働条件について外国人労働者との認識の違いが起きないような対策を講じる必要があります。
また、新制度では、外国人労働者の権利保護の観点からも、労働基準監督署との連携を強化するなど、受け入れる企業に対して、より厳しい労働基準の遵守が求められます。
長時間労働や賃金の未払などの労働関係法違反も、これまで以上に厳しく取り締まりが行われることになると予想されています。

育成就労制度は、2027年までの施行が予定されています。
すでに外国人技能実習生を受け入れている企業はもちろん、今後、新制度を活用して外国人労働者の受け入れを検討している企業も、今度の動きを注視しながら、準備を進めていく必要があります。

外国人材の受け入れを積極的に行う企業が増加する中、当社にも外国人材を受け入れしている企業様から企業評価書の発行依頼をいただくことが増加しています。

債務超過になる見込みなので、中小企業診断士の作成した企業評価書が必要と言われました。お願いできますでしょうか?

と先日も製造業の経営者から依頼がありました。

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律があります。

その中で、技能実習制度の運用に必要な事項を定めた「技能実習制度運用要領」というものがあります。

そこでは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護」に関する取り決めが記載されています。

実は、この取り決めが平成29年に一部改正されて、

その中では、

直近の事業年度で債務超過がある場合、中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書類の提出も必要。」

と定められています。

そのため、当社にもご紹介やWEB上のお問い合わせを通じて、様々な外国人受け入れ企業様から企業評価書の作成を頂きます。

当社が所在する関西圏以外のエリアからも実に多くのお問い合わせをいただきます。

当社は、外国人材の受入に係る企業評価書の作成について豊富な実績があります。

これまで大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県の近畿エリア、富山県・石川県・岐阜県・愛知県・三重県の中部エリア、鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県の中国エリア、北海道・福島県の北海道・東北エリアの事業者様の企業評価書作成に関与させて頂いた実績がございます。

当然、それ以外の関東エリア、四国エリア、九州・沖縄エリアの事業者様も対応可能です。

zoom面談で関西圏外の事業者様からもスピーディーな納品対応を喜んでもらっています。

また、事業者様だけでなく、技能実習・特定技能の支援に関与させる行政書士や社会保険労務士等の専門家の方々からのお問合せも頂いております。

是非、お気軽にお問い合わせくださいませ。

株式会社ケーズパートナーズ (kspartners.co.jp)

岸本圭祐

㈱ケーズパートナーズ 代表取締役 中小企業の➀資金調達、➁経営計画作成・実行、➂スモールM&Aを支援している。

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