アリのような小さい体だと、象が食べるようなたくさんの食べ物は必要ありません。
象が気にしないような足の裏の小さい米粒くらいの大きさの小さな食べ物をいただいて、ささやかながら生きていこうというのが中小企業の戦略です。
したがって、大手の象が歩いて足の裏にくっついている食べ物をちょっといただいて、それで毎月、売上を上げていくということです。
大手が気にしない、大手には手が回らないようなニッチな絞り込んだ商品を売りましょう。
ここで大手が取り扱うのは、やはり売れている商品、あるいは人気商品、あるいは汎用品です。
なお、ニッチ商品といっても、さすがに中小企業が生きていくだけのボリュームは必要です。
となると、絞り込む前の段階の類似商品は、すでにマーケットがある程度あって売れているほど良いのですね。
既に売れている商品、あるいは利益率の高い商品、まずは既に売れている商品をチェックします。
ニーズのボリュームが小さすぎると、ニッチとはいえ商売が成り立たないから、注意が必要です。
最初からマニアックに行き過ぎないほうが無難です。
まずは研究するのは大手が扱っている、売れている商品です。
それらの商品の中で、不満のあるお客さんが零れ落ちているのに着目します。
大手離脱客の落穂拾いが発想のベースです。
具体例を一つ。お弁当です。
お弁当は誰もが扱っている成熟商品と考えられます。
しかし、ある時、事務所近くに面白いキッチンカーが停まっていました。
その車の横の窓には、次のように書いてありました。
「50歳以上限定弁当」
「このコンセプトはうまい!」と思いました。
例えば、若者ならば唐揚げとかハンバーグなどお腹が膨れそうなおかずをガンガン注文します。そういう脂っこいものが好まれます。
でも、50歳以上といった瞬間にもうイメージが湧きませんでしょうか?
例えば、カロリー重視とか胃がもたれないように、魚やお肉はあっさりした味付けとかですね。また、野菜は多めみたいな感じでしょうか。
こんな風に、50代限定、あるいは20代の女性限定でも良いわけです。
30歳から35歳の、この5歳の範囲とか、五つの年齢層の間だけピンポイントに狙ってとかもありです。
イマドキの商品戦略は、少なくとも2段階の絞り方が大事です。A×Bの組み合わせです。もっと絞るなら、A×B×Cまでやっても良いです。
「弁当×50代×心斎橋5km圏」とかです。
商品の選定において、別の視点で考えるのも時として有効です。
例えば、一時期流行った漫画喫茶があります。
喫茶店といえば、たとえばコーヒー1杯300円のように、コーヒーを商品とします。その場合、店としてはコーヒー1杯で3時間居られると辛いです。
そこで、「コーヒーを商品として売る」という発想を一旦辞めてみます。
商品の販売ではなく、場所を貸す商売として、定義し直します。「テーブルという部屋を貸す」という発想です。
1時間いたら200円の賃貸料と考えれば、3時間で600円になります。コーヒー1杯の原価なんて、数十円でたかがしれていますので、こちらはおかわり自由として料金をもらう根拠を変えるのです。
「コーヒー1杯」から「テーブル1時間」と変えるわけです。これが漫画喫茶の上手いところですね。
これは、物販から場所貸しという風にコーヒー提供のコンセプトをズラした好例です。
岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ
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