商品戦略に関して、大手のような強者と中小企業のような弱者とでは、基本的な考え方が変わってきます。
大手の場合、広く浅い豊富な品揃えで、値引きをしながら、価格戦略で差別化を図るというのが常套手段です。それに加えて、マスメディア、テレビのコマーシャルを流したりとか、大量にチラシを蒔いたりとか、マスメディア戦略を駆使してブランド力を高めて、広く浅く色々なお客さんから使ってもらいます。
これは強者の発想です。
しかし、その真似を中小企業がやったら当然のことながらすぐに倒れてしまいます。そこで弱者は何を考えるかというと、大手がマーケティングコストをかけて集めてくれた新規客の離脱者やその周辺で派生的に生じる需要を狙いに行きます。
いわゆるニッチ戦略(焦点絞り込み戦略)です。
会社によっては、月に数百万円から一億円以上の規模まで多大な予算を広告や集客の費用にかけています。そうやって広く浅く一見のお客さんを集めます。
一方で、広く浅くしか対応できないという大手なりの弱点もあることから、細かく対応できない部分で、大手に対して「もうちょっとこうして欲しいな・・・」等不満を持つ人が出てきます。
一度大手で買ってみて、それではちょっと満足できないという人達が必ず一定数出てきます。
大手がまず目覚めさせてくれたニーズに対して落穂拾いをする形で、こぼれ落ちた顧客の特化型ニーズを中小企業は商品として取り扱うことが戦略の基本です。
例えば、特殊用途の品物、それから専門特化した品物、あるいはマニア向けの商品です。
その際、意識して情報を集めるべきは、「大手に不満を持っているお客さんの実態」です。
「大手不満客向け」のニーズを明確化し、そこに自社の主力商品をマッチさせることができたら強いです。
大手のサービス、あるいはそういった商品にちょっと不満がある、かゆいところに手が届かない的な感じですね。そういったお客さんの不満を吸い上げて、情報収集して、大手の商品・サービスに不満を持っているお客さん向けに中小としてサービスを提供することがニッチ戦略のポイントと言えます。
強者とまともに戦わない商品の開発が理想です。
しかし、そうはいっても商品って、どんな商品もある程度は市場に行き渡っていますから、大手で満足することがあります。喫茶店だってまともに戦ったら、やっぱり大手のチェーン店の方が強いわけです。
できれば商品で差別化したいけど、今の世の中、モノが溢れていますので、商品で差別化するということが難しいケースもあることはあります。
そういった場合は、商品だけではなくて、周辺のサービス、お客様対応とか、そういったところで大手と比べた自社の強みを見つけて、そこを磨き上げて差別化します。そして、できれば絞り込んだニーズ、マーケットでも十分自分の会社が食べていけるだけの市場のボリュームがあることが望ましいです。
岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ
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