【特例承継計画】~後継者の経営を学ぶ意識づけに有効~

【特例承継計画】~後継者の経営を学ぶ意識づけに有効~

平成30年度税制改正において、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大きく改正され、10年間限定の特例措置が設けられたことをご存知の方も多いかもしれません。その特例の適用を受けるためには、以下の2点を満たしていることが必要です。 (1)平成30年4月1日から平成35年3月31日までに、都道府県庁に「特例承継計画」を提出していること。 (2)平成30年1月1日から平成39年12月31日までに、贈与・相続(遺贈を含む)により自社の株式を取得すること。では、特例の適用のために必要とされている「特例承継計画」とはどんなものでしょうか? そもそも、「特例承継計画」を作るとどんな良いことがあるのでしょうか? 今回は、当社でも支援に力を入れている「特例承継計画」についてお伝えいたします。

■特例承継計画とは

作成の目的は、自己株式の承継において、相続税・贈与税の 全株式100%猶予を可能とさせるために本計画の作成が必須なためです。 しかし、それだけではなく、本計画を作ることによって格段に事業承継が加速しますし、 ブレがなく進行させることができます。 本計画策定においては、税務面の知識は不要、むしろ、経営をバトンタッチしても業容の維持向上が成し遂げられるビジネスプランを作る感性が必要です。

■ 特例承継計画を作るメリット

 直接的な効果は、何といっても「相続税・贈与税の納税猶予」です。 しかし、究極の問いかけですが、社長が明日お亡くなりになられると仮定した場合、 会社はどうなってしまうでしょうか? きっと路頭に迷います。 銀行・取引先の評価、役員・従業員の振る舞い、風評被害、無秩序な株式(株主)の 分散を避けるためにも、60歳を過ぎた社長でしたら「事業承継」について本気で考える 必要があります。

そのためにも「特例承継計画」の策定はうってつけです。 また、事業承継の時期は、「後継者が一人前の経営者に成長した時」と言われています。 ですから「特例承継計画」作りを通じ、後継者の経営を学ぶ意識づけが強まることは非常に有効です。

■ 事業承継税制はどのように改正された?

何といっても、「特例承継計画」を作成し、都道府県に提出することで 相続・贈与の対象となる自社株のすべてが猶予の対象となったことはありがたいことです。 猶予といっても「承継後の5年間で平均8割の雇用維持」のハードルが高く、 これが「猶予の打ち切り」の引き金となってしまうことが懸念され 当該制度があまり使われていませんでした。 これが今回弾力化されたので、①自主廃業、②株式の譲渡、③後継者が代表権を有しなくなった、④後継者が筆頭株主でなくなった、なんてことがない限り、後継者から次なる後継者にバトンタッチができた段階などで、この代は猶予から免除になるのです。 こうなると『特例承継計画』を作成しない手はありません。 事業承継が円滑に進まず有力な会社が廃業したら日本にとって大きな損失です。 これを防ぐために、「税収を減らしてでも経済を活性化させる」と国が大ナタを振るった超革新的な施策なのです。 当事者である経営者様は早めに特例承継計画の作成・提出に取り組み、この権利を確保しておきましょう。

■ 特例承継計画の作成期限

『特例承継計画』の作成期限は、平成35年3月31です。そして、平成39年12月31日までに事業承継(自社株の相続・贈与)を完了させないとなりません。 それから、『特例承継計画』の作成においては「認定支援機関」の確認・指導・助言を受ける必要があります。 当社は[認定支援機関」ですのでご安心してご相談くださいませ。 なお、税務的なアドバイス・処理に関しましては、連携している税理士と進めて参ります。

事業承継は10年計画とも言われています。特に、後継者の選定から始める方は、今から特例承継計画をスタートさせましょう。

岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ

岸本圭祐

㈱ケーズパートナーズ 代表取締役 中小企業の➀資金調達、➁経営計画作成・実行、➂スモールM&Aを支援している。

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