こんにちは、中小企業診断士の岸本圭祐です。
当社のメインサービスには月次関与の「経営計画作成・実行支援(実績検討会)」があります。本サービスでは、経営計画を作って終わりではなく、定期的に計画値と実績値の乖離の分析及び対策案をその都度検討し、 即座に経営改善に活かすことに重点を置いています。お客様と社外の第三者である当社と二人三脚で 「経営計画書の作成→毎月の経営会議→次月のアクションプランの実行」を実施することで、 毎月1回、自社の経営に対する振り返りの習慣化を図っていただいています。1年以上継続して関与させていただいているお客様は、少なからず経営面や業績にプラスの効果が出ています。
今回は、月次での実績検討会の有効性についてご紹介したいと思います。
■実績検討会の役割
月次決算をもとにした実績検討会の役割は、会社の業績を計画通りに実現することにあります。P(計画)→D(実施)→C(評価)→A(対策)のサイクルを回すことにより経営上の問題点を把握し、的確な対策を立てていくことが目的です。経営活動の結果は会計情報という数字で表されます。しかし、その裏には必ず原因となった人や業務の働きがあります。実績検討会ではその原因となった人や業務について対策をうち、数字の改善につなげます。単なる過去の実績や責任追及だけでなく、将来に向けた行動を確認します。
■実績検討会の開催のメリット
1.業績を共有することができる
計画を絵に書いた餅にしないために、あらゆる観点から数字でつかまえましょう。また、経営者、管理者はもちろん、全社員が自分たちの計画を理解し、取り組むことによって業績を共有することができます。計画が達成できなかった場合は、各人がその原因を検証し、次はそれが起こらないように改善することで達成に近づくことができます。
2.目標の必要性を共有することができる
何が自社の最も基本的な努力の成果を反映する数字かを見極め、それを行動の指針とします。やみくもに仕事をしてもどれくらいまでやればいいのか、この程度で満足していいのかがわかりません。継続的に成長するためには、高い目標をかかげ、その目標に向かって努力する組織をつくります。目標値から逆算して、今、何をしなければいけないかを考えます。現在を一歩一歩努力して積み重ねることが成長の鍵になります。これを伝える現場が実績検討会と考えると良いでしょう。
3.対策を経営者層で考えることができる
経営者1人ではなく、経営幹部が月次損益の結果を理解し、自社の現状を理解することができるようになります。予算と実績の差異が生じたときに、なぜそのような差異が生じたのかを経営者層で考えてみます。そして数字の背後に読み取れる問題点に対して対策を打つのです。中小企業でも伸びていく企業では、必ずと言っていいほど社長と価値観を同じくし、社長の意思を汲んで経営にあたる経営幹部が育っているものです。実績検討会を通じて、経営者が現場を任せることができる人材が育ちます。
■実施のポイント
1.変動損益計算書を作成する
予算実績の検討会で使用される様式が通常の損益計算書である場合は少し問題があります。費用には売上の増減に合わせて増減する「変動費」と売上の増減に関わらず発生する「固定費」があります。その結果、売上総利益率の変化が経営努力によるものなのか、単純に製造数量の違いによるものなのか見分けがつかないのです。ですから、実績検討会や予算には変動損益計算書を使います。着眼点は、売上高、限界利益率、固定費の3つです。
2.予算実績対比表を作成する
変動損益計算書の様式で、予算や前年に対する差異、達成率を把握します。自社独自の様式を工夫すると良いでしょう。単月だけではなく、期がスタートしてからの累計のデータも同様に示すことで今月までの予算の達成状況を把握することができます。
3.実績検討会を開催する
有効な検討会とするため、検討会のルールを決めましょう。メンバーの発言を引きだすために、責任者は極力意見を差し控え、価値観や方針共有、方向あわせに注力してください。前回議事録の確認では、前回の記録担当者が前回の決定事項を確実に実行されているかを確認し、できていなければ、議題に追加します。検討会の最後には、当日の記録担当者が本日の決定事項を再確認します。前回の振り返りと、今回の決定事項の確認をしっかりやることで検討会が活性化します。最後は全員が起立し「ありがとうございました」と挨拶をして検討会を終了します。規律あり、価値のある検討会を行いましょう。
自社単独で「P(計画)→D(実施)」まで行っている企業は数多くありますが、日々の業務に追われる中、「C(評価)」を行いそれに基づく「A(対策=改善策)」を企業単独で行うのが困難な場合も多いようです。社外の第三者である当社が会議のファシリテーター役で関与させていただき月次のフィードバック機能として活用していただくことが多いように思います。
今回は以上です。この内容が皆さまのお役に立てれば幸いです。
岸本が代表を務める→株式会社ケーズパートナーズ
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